2013/05/29

【追記】アルインコDJ-X81雑感

アルインコの新型受信機DJ-X81を入手して数日が過ぎました。ここでは個人的に感じたDJ-X81の使用感を書いてみます。DJ-X81の使い方についてはラジオライフ(2013年)7月号にわかりやすくまとめてありますのでそちらを入手してください。

なおDJ-X81の売りであるはずの緊急放送受信に関する内容はここでは割愛します。
(2013/6/8追記:下の「関連記事」にEEWとEWSのお試し受信についてリンクを追加しました)


まずは最も重要視するDJ-X81の外観から。

DJ-X81はDJ-X8からキーボード交換用ネジによるレトロ感演出?やキーボード全体の不思議なV字テイストが消え、スッキリした印象です。しかし側面の質感(ボタン形状や作り)が正面とあまりにも違っていて少々ショックでした。実勢価格が2万円台という激安では仕方ないのかもしれません。

気になる本体の厚みですが単三乾電池1.5本以上の幅があり、ポケットに入れたりネックバンドで首からぶら下げ気軽に持ち運ぶ使い方は難しく、ベルトクリップ運用が適切です。スマートフォンを見慣れてしまっているせいか、もっと薄くてもいいのではと思ってしまいました。

フル充電に10時間掛かるという20年前水準のスペックは最初使いづらいと思っていましたが、いざ使い始めると日常それほど使いづらくはない印象でした。

電池の持ちですが、付属充電池の充放電を繰り返したところ緊急放送受信状態で1日1時間程度ラジオ受信に使うと約1.5日は持つようです。



充電スタンドについて。

付属の充電スタンドはDJ-X8充電中の様子がまるで湯船につかっているような愛嬌のある形状からDJ-X81ではソファーに腰掛けた重役用の椅子のようなイメージの形状に変わりました。

充電中ランプ(赤)は好みに応じて入切できます。

DJ-X81が少し斜め状態で充電スタンドに固定されるのは表示が見やすく使いやすいです。DJ-X8ゆずりの充電スタンドの周囲を取り囲む厚みは受信機が倒れないようにする工夫でしょうか。



充電スタンド/外部電源入力端子を使った受信について。

満充電後、ACアダプタを外さず充電スタンドへDJ-X81を置いたまま電源を入れると、満充電状態にもかかわらずDJ-X81がさらに10時間充電しようと充電タイマーが再びカウントダウンを始めました。充電池の満充電状態検出機能はないようです。

また電池を入れずACアダプタをDJ-X81の外部電源入力DCジャックへ差し込むと、電池が入っていないにもかかわらず液晶の電池交換表示が点滅し始め、充電動作だけが開始されます(セットモードの「外部DC端子の充電機能設定」でON-LED設定するとよく分かります)。ただしこの動作はセットモードで回避できました。



次に現行品DJ-X8からの主な不満点の解消チェックです。

◇充電端子の接触不良による充電タイマーリセット
DJ-X81では充電端子形状などがDJ-X8から変更され、接触不良は現状認められません。解消されていると考えていいでしょう。

◇空線信号のキャンセル性能
残念ながらJR隣接周波数の抑圧に関しては未チェック(5/31追記:キャンセル効果発揮を確認しました)ですが、同じ周波数の電波を複数受ける(フェージング状態)と空線信号がキャンセルされないことがありました。DJ-X8から改善されていないかもしれません(5/31追記:ある程度は改善されていると思います)。

◇混変調、イメージ受信
テレビ放送の混変調の影響はデジタル化された影響のせいか今のところ遭遇していません(5/31追記:NTT塔下でJR列車無線が移動警電のカブリを受けました)。しかしそれほど強くない電波のイメージ受信はありました。具体的には350MHz帯の移動警電基地局や360MHz帯署活系が+487.9MHz離れた840MHz帯で見つかる、などです。



DJ-X81の各種放送電波受信についてざっくりと。

AMラジオ、FMラジオについては相変わらず市販のラジオと互角の性能か専用機クラスに匹敵すると思います。付属のアンテナでも特に感度不足は感じません。環境によりますがダイヤモンドアンテナのSRH805SでもNHK-FMがギリギリ受信出来ました。

ワンセグ音声は付属アンテナでは高感度で受信できますがダイヤモンドアンテナ(第一電波工業)のSRH805Sでは今のところ、ワンセグ携帯電話で受信できる屋内と屋外で受信できません。逆にコメットアンテナのSMA-W100RXではロッドアンテナを伸ばさなくても余裕で受信出来ました。

手持ちのヘッドホンでイヤホンアンテナ機能も試しました。結果、400MHz帯ではSRH805Sのほうが高感度でした。使うイヤホンや受信周波数にもよるので一概に判断できません。

気になっていたワンセグ音声の受信遅延はワンセグテレビと僅差で甲乙つけがたいです。ただ、チャンネルを切り替えた直後に音声が出る速さはDJ-X81のほうが映像デコード不要な分、2~3秒速く再生し始め好印象です。



DJ-X81を受信機として使った場合の感想等をいくつか。

スキャン、サーチ速度に不満はありません。1~5段階から選べます。

交信終了直後からスケルチ動作までに一瞬聞こえるザッという雑音の長さは今まで使ってきた無線機や受信機の中で長いほうです。

VFOスキャンのオートモード時のステップやモードの切り替わりで0.5秒ほど、プログラムスキャンで上端下端に差し掛かると約0.5秒、それぞれフリーズします。

セットモード操作中は受信音量の調整ができません。

DJ-X81内蔵スピーカーの音質はかなり聞き取りやすいのですがイヤホンを使うとホワイトノイズの音量が大きく、音質をLOWにしてもホワイトノイズだけは変化しません。

スケルチオープン時一瞬出る「ボッ」というポップノイズはDJ-X8やDJ-X11同様健在で、スケルチ開閉が断続すると耳が痛いです(5/31追記:改めて確認したところ普通レベルでした)。別売りケーブルリモコンEDS-12を使えば解消するのかは未確認です。このポップノイズは同社特定小電力トランシーバーではかなり解消していますので、受信機でもぜひ改善して欲しいですね。
(5/31追記:同じイヤホンで改めて確認したところ他社機種と遜色ないくらいのポップノイズレベルでした。使い続けると馴染んでくるのでしょうか・・・?)

受信感度は全体的にDJ-X8同様、このクラスでは申し分ないと思います。



裏ネタを少々。個体差かもしれませんが、内蔵の音声反転秘話解読機能らしき設定はキャリア漏れが多く実用的ではありません。

そもそもこの設定は説明書になく、公式の機能ではないと思われますのでメーカーへの問い合わせはご遠慮ください。これ以上詳しくは語りません。ご自身で研究されてください。





駆け足でDJ-X81を使い気づいたことを書き連ねました。DJ-X81をある程度使った全体の感想を一言で言うならば、「・・・」です。

期待以上の部分もあれば今まで当たり前と考えていた受信機の常識が・・・な部分も散見され、ある意味バランスのとれた1台です。

終始気になったのは操作のしづらさと液晶表示文字が何を表しているのかほとんどわからないことでした。特にセットモードに現れる液晶表示の「n」と「m」に違いがなく読み辛いです。



DJ-X81の説明書は戸惑いました。例えば「ダイヤルを回す」と言葉だけが書いてあるDJ-X81の説明書は図が足りず、上のダイヤルか下のダイヤルのどちらを回せばよいのか1時間ほど悩みました。説明書の最初をもう一度見なおし、下のダイヤルが「リング」と呼ぶことを初めて知り解決しました。

また、箱出し状態のときワンセグの地域選択画面で説明書に記載のない「******」が現れた時はかなり慌てましたが、いろいろ触っているうちに説明書通りの動作になりました。

DJ-X81が緊急放送受信対応と宣伝されているにもかかわらず、取扱説明書にはまるでオプション機能のような扱いで掲載されている状況はとても不思議に思いました。仮にもし、よしお自身が説明書を作る立場になっていたとしたら、緊急放送受信設定の説明をページのもっと始め付近に持ってくるかもしれません。




このようにDJ-X81実機を毎日使っていますと、DJ-X81はやはり受信機を知る中級者向けではないかと思えて来ました。前記事「アルインコDJ-X81考察」(下の関連記事参照)で考えた、初心者ユーザーもターゲットに入っているのでは?という予想はどうやら外れだったようです。

いろいろ書いていたらずいぶん長くなってしまいました。ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございました。

以上、緊急放送受信を除いたDJ-X81使用レポートでした。



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[関連記事]
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3 件のコメント:

  1. すばらしいリポートありがとうございます。
    良くも悪くも、DJ-X8を引き継いでいるような印象でしょうか。
    実用的かどうかはさておいて、音声反転式秘話の解読もできるようですね。
    アルインコのサイトにエキスパートモードの追加文書が公開されており、そこにポップ音を軽減させる設定が明記されています。

    http://www.alinco.co.jp/img/manual/manualP20130515001.pdf

    ポップ音がカットされる代わりに、無音時にヒスノイズがずーっと聞こえてしまうようです。
    ファームウェアをアップデートできるようなので、今後は機能の改善や追加があるかもしれません。

    「アルインコ DJ-X81開封インプレッション」で、基板まで「開封」するとは思いませんでしたw

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  2. AR8200さん、こんにちは! お褒めいただき光栄です^^
    おっしゃるとおりDJ-X81はDJ-X8の長所短所をほぼ継承しているように見えました。
    乗り換えの大きなメリットは宣伝通りワンセグ音声、EEW/EWS受信機能と思います。メモリー周辺の使い勝手はソフトが公開され次第、触るかもしれません。

    お、知らないうちにDJ-X81公式サイトに拡張機能が公開されていますね。ご報告ありがとうございます。近日中に試しましょう。

    本体「開封」楽しんでいただけましたか、少々頑張った甲斐がありました。よかったです!

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  3. 気になっていたポップノイズですが、同じイヤホンで本日確認したところ他社の機種と同じか良いレベルになっていました(なぜ?)。現状DJ-X8よりもポップノイズが少ないと思います。試しにイヤホンを100均のものに変えたところDJ-X81のポップノイズが目立たなくなりました・・・?
    原因が分からず不可解ですが、とにかく改善して良かったです。

    あとすっかり書き忘れていましたが、DJ-X81はデフォルトでスケルチが閉じてから0.3秒程度後AFアンプが停止しますのでかなり極端な連続ポップノイズは出にくくなっています(先日はポップノイズが多かったはずなのですが・・・)。
    DJ-X81でポップノイズにお困りの方はエージングをおすすめします。
    以上後日談でした。

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